2010 |
11,19 |
«初めての傍聴»
10月某日
裁判所へ行く。トラブルを抱えたもので。というのはウソ。同じ研究室のT君に誘われて、日ごろから裁判に興味を持っていたので(完全に逆〇裁判の影響)傍聴しに行きました。ということで11月も2/3すぎたけど、大変面白かった!ので、初めて裁判所に傍聴へいった感想をちょっとまじめに、レポート風に思い出せる限り書き残そうと思います。
裁判を傍聴した人は言う、「不謹慎だけど、リアリティがあって裁判は面白いよ! 不謹慎だけどネ!」 まったくその通りであった。僕らはこの日、傷害事件、道路交通法違反と業務上過失致傷の2件の刑事裁判を傍聴したんだけど、裁判所という非日常的な空間の中で、実際に今日も起こっているであろう「事件・事故」の紛れもない現実を目の当たりにした。
午前10時前、裁判所の入り口で若いパンツスーツ姿の女性と、その人に頭を下げる主婦っぽい女性がいた。早速、コレは弁護士と依頼人なのか?と思った。きっと相当やり手の弁護士で丁度今中年の男性検事を打ち負かしてきたところなのだろう。そんなことを勝手に想像しつつ裁判所の門をくぐる。意外だったのが裁判所の職員は傍聴人にウェルカム?なところ。受付のおじさんも裁判が行われる部屋の職員も割と僕らただ見学に来た、言ってみれば裁判に無関係な人を気にかけてくれた。
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午前10時過ぎ、1件目。傷害事件。法廷に入るときは緊張した。一呼吸するために一度トイレへ入る。部屋に入ると難しそうな顔の裁判官(男性。4~50代、想像していた(◯転裁判のサイバンチョ)より随分若い)と電話の子機を手にあせあせとする書記官(ほぼ野間口徹)、書類に目を通す若い女性検事(「美人」ではないがどことなく凛としていて戦う女性!といった魅力を感じた。20代中盤~後半)、警備員にワキを固められ、肩をもたげた被告人(男性無職。60代。必要以上に小さく見えた。この人が被告人です、と一目で見分けがつくくらいシュンとしてた)がいた。傍聴席にはすでに席が埋まりそうなほどの人が着ていた(15~20人くらい。後で思ったが、多分傷害事件は人気がある。ちょっと怖そうな人が数人、中にはギャル風の人もいた)。
被告人の手首には手錠がはめられていた。ドラマではピカピカの銀色だけど、実際の手錠はどす黒い色をしていた。テレビなどでモザイクにされていて見えない分、人の手にはめられた実際の手錠を生で見るとすこし緊張感を感じた。
裁判が始まる前の重苦しい雰囲気。そんな中なぜか笑いがこみ上げてくる。笑っちゃいけない空気のなか、逆に笑ってしまいそうになったのか、それとも自分が裁判所にいるという現実味のなさに一種の冗談のような気がして思わず笑いそうになったのか。どうやら書記官は未だにこない弁護士に連絡を取っていた様子だった。弁護士は10分くらいして遅れてやってきた体格のいい女性(30代、しかし動作や裁判官とのやり取りがたどたどしく新人ぽい)だった。
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いよいよ開廷した。裁判が被告人の男性は元やくざで、数件(~十数件?)の傷害事件などの前歴がある。今回は同棲していた(?)女性の首を絞め、首に傷を負わせた疑い。男性は傷を負わせたことは認めているものの、検事側の「ひも状の物で首を絞めた」、という主張は否認している。裁判の焦点はそこだった。検事が被告人の生い立ちや被害者との関係、事件当時の成り行きを話しだした。
以下、かなり不正確であいまい。男性は数年(~数十年)前から女性と交際し、女性との間には娘がいる。現在は女性、娘とは別居し、一人で暮らしている。男性は非常に嫉妬深い性格で、女性に彼氏がいるのではと日ごろから疑っていた。女性に対して「もし彼氏がいるならお前とそいつを海に沈める」と脅していた。事件当時も彼の猜疑心に火がつき、女性宅で女性ともみ合いになる。紐で首を絞められたというのが被害者である女性の証言であり、検察側の主張だ。首を絞められているときに女性宅に二人の知り合い(?)が訪れて事件が発覚した(事なきをえた?)という。
検事は決められた手順に沿って、ことのあらましを述べていく。裁判官や弁護士も規則に従って順次発言する。まるで何か演劇でも見ているような感覚だった。ただ被告人だけがセリフのたどたどしい、舞台に迷い込んだ素人みたいだった。しかし検事の口から語られたものは(おそらくほとんどが)現実である。これは実際に起こった話なのだ、というたったの1点だけで、ドラマなどにはない生々しさがあった。
被告人の男性は一見、肩を落とし、背中を丸めたおとなしそうな初老に見えるが、僕は被告人は実際にひも状のもので女性の首を絞めたのではないかと思った。首を負傷する程の力で締め付ける、さらに女性の証言があり、審理が進むにつれ証拠も出されるだろう。僕が裁判員としてこの事件に関わったとするとこの男性の言い分は却下かな。完全な主観だけど(男性が元やくざであったことと、今回の傷害事件とはまったく関係ない。でも元やくざというだけで男性に対して暴力的な印象を持たざるを得ない。この”印象”は裁判員の判断を多少なりとも左右するに違いないと思う)。
この日、その場では証拠品の提示や検事側、弁護側の被告人への尋問はなかった。まだその段階への準備が終っていないらしく、次回以降に持ち越される様子だった。最後に、次回の裁判のスケジュールを裁判官、検事、弁護士で話し合って終った。閉廷したあと、弁護人が裁判中とはうって変わって、うきうきとした万遍の笑みで(まるで今から焼肉でも食べにいくかのような)出口の方へ去っていくのが印象的だった。
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午前10時50分頃、2件目開廷。道路交通法違反および業務用過失致傷罪。裁判官、書記官は1件目と同じ。弁護士は50代白髪メガネの男性。検事は40~50代黒髪メガネ、少し横峰さくらの親父風。傍聴席には僕らを含め5名程度と少な目。被告人は50代男性、香川照之風、元トラックの運転手、現在無職(求職中)。少しふてくされているようにも見えた。
被告人は5車線を右から左に一気に4車線変更した際、後方不注意により30代男性(?)の運転するトラックと衝突し負傷させ、事件発覚を恐れて逃走した疑いがある。男性は数キロ先のガソリンスタンドで事故現場に自分のトラックのナンバープレートを落としたことに気づき、観念してやむなく通報。被告人は全面的に検察側の主張を受け入れていた。
検察側の証拠品の提出と弁護側の被告人への尋問、検察側尋問とスムーズに進んだ。検事はそこら辺にいるおっちゃんみたいで、被告人にはタメ口でまるで世間話をするかのように語りかけていた。最後の被告人への検事、裁判官の「免許が取り消しで職を探すのに苦労すると思うが、がんばって欲しい、免許を取れるまで車の運転は絶対しないように。現場から逃走したことは大変悪質である。しかし、被害者の怪我が軽くですんだことが、唯一の救いである」といった主旨の被告人を気遣う言葉に、被告人への愛を少し感じた。次回判決が下される模様。
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ということで、傍聴を終えての感想は「不謹慎だけど、リアリティがあって面白かった!」そのものだった。すこし(かなり!?)失礼な言い方をすると、傍聴席から見た裁判そのものは、ひとつのお芝居のように見えた。裁判官、検事、弁護士、被告はまるでそれぞれのを役を演じているかのようだった。しかし、傍聴席の敷居をまたげば、突然芝居が現実となる。
「何回も涙を流してしまった。」 先日、裁判員裁判初の死刑判決が下された裁判で裁判員を務めた男性が、会見で裁判での苦悩をこう語ったそうだ。判決を下すのには相当な精神的苦痛を伴うのだろう。「法」が人の罪を裁くという言葉があるが、やはり最後は「人が」人を裁くのではないか。裁判員裁判は罪状が重い事件のみを対象としているという。裁判員に選ばれたら、法の名を借りて被告人の人生を大きく左右するような審判を下すことになるのだろう。
こんなことを考えつつ、また裁判所に足を運ぼうかなと思う。どちらにしても、長い人生の中一度や二度は傍聴席の敷居の向こう側に立つことになるかもしれない(できれば被告人にはなりたくない)。そういう意味でも一度は傍聴する価値はあると思う。皆さんも傍聴をしに行ってみてはいかが!?
裁判所へ行く。トラブルを抱えたもので。というのはウソ。同じ研究室のT君に誘われて、日ごろから裁判に興味を持っていたので(完全に逆〇裁判の影響)傍聴しに行きました。ということで11月も2/3すぎたけど、大変面白かった!ので、初めて裁判所に傍聴へいった感想をちょっとまじめに、レポート風に思い出せる限り書き残そうと思います。
裁判を傍聴した人は言う、「不謹慎だけど、リアリティがあって裁判は面白いよ! 不謹慎だけどネ!」 まったくその通りであった。僕らはこの日、傷害事件、道路交通法違反と業務上過失致傷の2件の刑事裁判を傍聴したんだけど、裁判所という非日常的な空間の中で、実際に今日も起こっているであろう「事件・事故」の紛れもない現実を目の当たりにした。
午前10時前、裁判所の入り口で若いパンツスーツ姿の女性と、その人に頭を下げる主婦っぽい女性がいた。早速、コレは弁護士と依頼人なのか?と思った。きっと相当やり手の弁護士で丁度今中年の男性検事を打ち負かしてきたところなのだろう。そんなことを勝手に想像しつつ裁判所の門をくぐる。意外だったのが裁判所の職員は傍聴人にウェルカム?なところ。受付のおじさんも裁判が行われる部屋の職員も割と僕らただ見学に来た、言ってみれば裁判に無関係な人を気にかけてくれた。
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午前10時過ぎ、1件目。傷害事件。法廷に入るときは緊張した。一呼吸するために一度トイレへ入る。部屋に入ると難しそうな顔の裁判官(男性。4~50代、想像していた(◯転裁判のサイバンチョ)より随分若い)と電話の子機を手にあせあせとする書記官(ほぼ野間口徹)、書類に目を通す若い女性検事(「美人」ではないがどことなく凛としていて戦う女性!といった魅力を感じた。20代中盤~後半)、警備員にワキを固められ、肩をもたげた被告人(男性無職。60代。必要以上に小さく見えた。この人が被告人です、と一目で見分けがつくくらいシュンとしてた)がいた。傍聴席にはすでに席が埋まりそうなほどの人が着ていた(15~20人くらい。後で思ったが、多分傷害事件は人気がある。ちょっと怖そうな人が数人、中にはギャル風の人もいた)。
被告人の手首には手錠がはめられていた。ドラマではピカピカの銀色だけど、実際の手錠はどす黒い色をしていた。テレビなどでモザイクにされていて見えない分、人の手にはめられた実際の手錠を生で見るとすこし緊張感を感じた。
裁判が始まる前の重苦しい雰囲気。そんな中なぜか笑いがこみ上げてくる。笑っちゃいけない空気のなか、逆に笑ってしまいそうになったのか、それとも自分が裁判所にいるという現実味のなさに一種の冗談のような気がして思わず笑いそうになったのか。どうやら書記官は未だにこない弁護士に連絡を取っていた様子だった。弁護士は10分くらいして遅れてやってきた体格のいい女性(30代、しかし動作や裁判官とのやり取りがたどたどしく新人ぽい)だった。
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いよいよ開廷した。裁判が被告人の男性は元やくざで、数件(~十数件?)の傷害事件などの前歴がある。今回は同棲していた(?)女性の首を絞め、首に傷を負わせた疑い。男性は傷を負わせたことは認めているものの、検事側の「ひも状の物で首を絞めた」、という主張は否認している。裁判の焦点はそこだった。検事が被告人の生い立ちや被害者との関係、事件当時の成り行きを話しだした。
以下、かなり不正確であいまい。男性は数年(~数十年)前から女性と交際し、女性との間には娘がいる。現在は女性、娘とは別居し、一人で暮らしている。男性は非常に嫉妬深い性格で、女性に彼氏がいるのではと日ごろから疑っていた。女性に対して「もし彼氏がいるならお前とそいつを海に沈める」と脅していた。事件当時も彼の猜疑心に火がつき、女性宅で女性ともみ合いになる。紐で首を絞められたというのが被害者である女性の証言であり、検察側の主張だ。首を絞められているときに女性宅に二人の知り合い(?)が訪れて事件が発覚した(事なきをえた?)という。
検事は決められた手順に沿って、ことのあらましを述べていく。裁判官や弁護士も規則に従って順次発言する。まるで何か演劇でも見ているような感覚だった。ただ被告人だけがセリフのたどたどしい、舞台に迷い込んだ素人みたいだった。しかし検事の口から語られたものは(おそらくほとんどが)現実である。これは実際に起こった話なのだ、というたったの1点だけで、ドラマなどにはない生々しさがあった。
被告人の男性は一見、肩を落とし、背中を丸めたおとなしそうな初老に見えるが、僕は被告人は実際にひも状のもので女性の首を絞めたのではないかと思った。首を負傷する程の力で締め付ける、さらに女性の証言があり、審理が進むにつれ証拠も出されるだろう。僕が裁判員としてこの事件に関わったとするとこの男性の言い分は却下かな。完全な主観だけど(男性が元やくざであったことと、今回の傷害事件とはまったく関係ない。でも元やくざというだけで男性に対して暴力的な印象を持たざるを得ない。この”印象”は裁判員の判断を多少なりとも左右するに違いないと思う)。
この日、その場では証拠品の提示や検事側、弁護側の被告人への尋問はなかった。まだその段階への準備が終っていないらしく、次回以降に持ち越される様子だった。最後に、次回の裁判のスケジュールを裁判官、検事、弁護士で話し合って終った。閉廷したあと、弁護人が裁判中とはうって変わって、うきうきとした万遍の笑みで(まるで今から焼肉でも食べにいくかのような)出口の方へ去っていくのが印象的だった。
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午前10時50分頃、2件目開廷。道路交通法違反および業務用過失致傷罪。裁判官、書記官は1件目と同じ。弁護士は50代白髪メガネの男性。検事は40~50代黒髪メガネ、少し横峰さくらの親父風。傍聴席には僕らを含め5名程度と少な目。被告人は50代男性、香川照之風、元トラックの運転手、現在無職(求職中)。少しふてくされているようにも見えた。
被告人は5車線を右から左に一気に4車線変更した際、後方不注意により30代男性(?)の運転するトラックと衝突し負傷させ、事件発覚を恐れて逃走した疑いがある。男性は数キロ先のガソリンスタンドで事故現場に自分のトラックのナンバープレートを落としたことに気づき、観念してやむなく通報。被告人は全面的に検察側の主張を受け入れていた。
検察側の証拠品の提出と弁護側の被告人への尋問、検察側尋問とスムーズに進んだ。検事はそこら辺にいるおっちゃんみたいで、被告人にはタメ口でまるで世間話をするかのように語りかけていた。最後の被告人への検事、裁判官の「免許が取り消しで職を探すのに苦労すると思うが、がんばって欲しい、免許を取れるまで車の運転は絶対しないように。現場から逃走したことは大変悪質である。しかし、被害者の怪我が軽くですんだことが、唯一の救いである」といった主旨の被告人を気遣う言葉に、被告人への愛を少し感じた。次回判決が下される模様。
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ということで、傍聴を終えての感想は「不謹慎だけど、リアリティがあって面白かった!」そのものだった。すこし(かなり!?)失礼な言い方をすると、傍聴席から見た裁判そのものは、ひとつのお芝居のように見えた。裁判官、検事、弁護士、被告はまるでそれぞれのを役を演じているかのようだった。しかし、傍聴席の敷居をまたげば、突然芝居が現実となる。
「何回も涙を流してしまった。」 先日、裁判員裁判初の死刑判決が下された裁判で裁判員を務めた男性が、会見で裁判での苦悩をこう語ったそうだ。判決を下すのには相当な精神的苦痛を伴うのだろう。「法」が人の罪を裁くという言葉があるが、やはり最後は「人が」人を裁くのではないか。裁判員裁判は罪状が重い事件のみを対象としているという。裁判員に選ばれたら、法の名を借りて被告人の人生を大きく左右するような審判を下すことになるのだろう。
こんなことを考えつつ、また裁判所に足を運ぼうかなと思う。どちらにしても、長い人生の中一度や二度は傍聴席の敷居の向こう側に立つことになるかもしれない(できれば被告人にはなりたくない)。そういう意味でも一度は傍聴する価値はあると思う。皆さんも傍聴をしに行ってみてはいかが!?
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熊本の某大学で情報処理の勉強をしてます。
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